セ・リーグ勢の善戦
コロナか禍で2年ぶりの開催となった今年度のセ・パ交流戦は49勝48敗11分で、セ・リーグが2009年以来の勝ち越しを決めた。交流戦前までに下位に低迷していた中日、DeNAが優勝争いをし、阪神とヤクルトを含めた4球団が6位までに食い込み、セ・リーグ勢の善戦が目についた。
最優秀選手賞
最優秀選手賞には3試合に先発登板し、勝利数1位タイの3勝をマークしたオリックスの山本由伸が選ばれた。山本は5月28日のヤクルト戦で7回2自責点、9奪三振。6月4日の中日戦で7回1自責点、9奪三振。圧巻は同月11日の広島戦だった。7回まで一人の走者も許さない快投を見せ、1994年の槙原寛己以来となる令和初の大記録の達成を予感させた。しかし、8回の先頭打者の4番鈴木誠也に中安打を浴び、夢は潰えた。その後、坂倉将吾には右前に運ばれ、ピンチを招いたが、後続を3者連続三振に打ち取り、8回を投げ自責点0、自己最多となる15個の三振を奪った。チームはこの勝利で交流戦単独首位に立ち、残りの2試合も連勝し、10年以来の交流戦優勝を飾った。防御率1.23は3位だったが、交流戦の優勝に大きく貢献したことが高く評価された。
日本生命賞
セ・パ両リーグから1人ずつ選出される日本生命賞は、セ・リーグからは中日のダヤン・ビシエド、パ・リーグからは日本ハムの伊藤大海が受賞した。ビシエドは全18試合に出場し、17試合で安打を放ち、複数安打も9度記録。1位タイの27安打、打率4割9厘で球団初の交流戦首位打者に輝くなど、9打点3本塁打で4番として打線を牽引。交流戦でのチームの躍進の原動力となった。
伊藤は3試合に先発登板し、1位タイの3勝をマーク。5月28日の中日戦は7回被安打4自責点1、6月6日の巨人戦では7回被安打2自責点1、同月16日の広島戦では6回被安打4自責点0。セ・リーグのチーム相手に新人ながら抜群の安定感を誇り、防御率0.90は1位タイ。交流戦での最優秀防御率を新人が獲得するのは史上初だった。
ソフトバンクは最低順位に沈む
過去8度の交流戦優勝を誇るソフトバンクは、パ・リーグ首位で交流戦を迎えたが、5勝9敗4分(11位)と、12年以来の交流戦での最低順位に沈んだ。最初のカードの中日戦で2敗1分とつまづくと、DeNAにも2敗1分、最終カードのヤクルト戦では3連敗を喫した。チーム防御率3.04は12球団でトップも、打線が振るわなかった。過去2度交流戦MVPに選ばれた柳田悠岐が打率2割2分7厘(58位)と精彩を欠き、チーム打率は2割3分3厘は12球団ワーストだった。チーム得点68点に対しチーム失点56点と、得点が12点上回ったが、4つの負け越しで試合巧者ぶりが影を潜めた。また3敗がブルペン陣によるものと、森唯斗、リバン・モイネロの不在が響いた格好になった。パ・リーグ連覇へ、ブルペン陣の整備が大きな課題となるだろう。
6連勝で2位に浮上した阪神
阪神は交流戦を6連勝で締め括り、交流戦を2位で終えると同時に、貯金は20、2位に7ゲーム差をつけ、セ・リーグ首位を堅持した。秋山拓巳が3試合に先発登板し3勝、ロベルト・スアレスが8セーブを挙げるなど、チーム防御率3.52(3位)と投手陣が安定していた。中でも新人の活躍が目を引いた。佐藤輝明は5月28日の西武戦で、セ・リーグでは58年の長嶋茂雄以来となる新人の1試合3本塁打。加えて、交流戦新人の最多記録となる6本塁打。伊藤将司は3試合に先発登板し、楽天・田中将大に投げ勝ち1勝をマーク。中野拓夢は打率3割4厘に加え、交流戦トップの8盗塁を決めるなど若トラが躍動した。05年以来のリーグ優勝には彼らの活躍が必要不可欠だろう。