日本ハム、先頭打者から4連続弾

集大成のシーズン
 就任5年目になる今季を”集大成”と位置付ける新庄剛志監督。指揮を執ってから2年連続で最下位の後、2年連続で2位とチームは着実に進化している。2年連続で最多勝をマークし、ソフトバンクの2連覇に貢献した有原航平の6年ぶりの復帰も好材料だった。

4月終了時に最下位
 オープン戦では昨季に続き勝率トップで、開幕からのスタートダッシュを予感させた。しかし蓋を開けてみると、ソフトバンクとの開幕カードを3連敗。今季4試合目となる本拠地開幕戦で、昨季まで3勝の3年目、細野晴希が無安打無得点試合を達成するサプライズがあったが、4月終了時点で13勝16敗と最下位に沈んだ。期待の有原は1勝4敗(防御率8.23)と、オープン戦で3試合に先発し防御率5.25という状態を修整できなかった。

交流戦は2位タイ
 新庄監督は交流戦までに借金返済と算盤を弾いていたかもしれなかったが、交流戦前のソフトバンク戦で3連敗。ライバル・ソフトバンクには8戦全敗、23勝26敗(リーグ4位)で交流戦に臨み、最初のカードのセ・リーグ首位・阪神に3連勝し反撃の狼煙を上げた。昨季8勝(2敗)とブレークした達孝太が2勝6敗(防御率4.06)と調子が上がらないのをみて、救援に回っていた山﨑福也と配置転換。9連勝もあり、ソフトバンクと並ぶ2位タイで交流戦を終え、7つの貯金をつくった。

人智を超えた偉業
 交流戦後も進撃は続き、7月2日の本拠地でのオリックス戦では、水谷瞬の先頭打者弾に続き、水野達稀、フランミル・レイエス、万波中正が4者連続本塁打。プロ野球史上初となる派手な花火を打ち上げた。阪神が球団史上初の日本一に輝いた1985年。甲子園でランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布のバックスクリーン3連発が飛び出したとき、当時の監督・吉田義男は〈今季は何かあると感じた〉と後年、コラムに書いていた。人智を超えた偉業に新庄監督も同様の思いを抱いたのではないか――。

10年ぶりのVへの鍵
 前半戦を首位ソフトバンクに6ゲーム差の3位で折り返した。前半戦終了時点でのチーム打率2割5分5厘、チーム本塁打122本はいずれもリーグトップ。打線の破壊力は折り紙付きだ。伊藤大海は8勝(5敗)、北山亘基は9勝(3敗)、加藤貴之は10勝(1敗)を挙げている。10年ぶりのリーグ制覇へは先発三本柱の”奮投”と有原の復調にかかっている。

西武、交流戦初制覇

史上最高勝率
 6月16日の阪神戦。今季から加入した桑原将志の適時打で五回に挙げた虎の子の1点を先発・武内夏暉から4人の継投で守り切り、パ・リーグの球団で唯一交流戦の優勝がなかった西武が栄冠に輝いた。交流戦に入り水を得た魚のように白星を重ねるソフトバンクと交流戦で9連勝と猛チャージをかける日本ハムを14勝3敗1分け(8割2分4厘)の交流戦史上最高勝率で振り切った。 

土俵際でうっちゃる
 5カード目が終わった時点で、トップは13勝2敗(8割6分7厘)のソフトバンク。西武は12勝2敗(8割5分7厘)の2位だった。6カード目はソフトバンクは7連敗中のヤクルト。西武は交流戦期間中にセ・リーグ首位に立った巨人との対戦と雨で順延になった阪神との1試合を残していた。ソフトバンクが有利な形勢だったが、土俵際でうっちゃった。  

MVPは長谷川
 MVPは敦賀気比高から育成ドラフト2位で2021年に入団した長谷川信哉が選出。育成出身選手では初の栄誉だった。最終戦で4打数2安打を放ち、打率を3割6分7厘とし、3割6分5厘の松本剛(巨人)を抜いて自身初の交流戦首位打者に輝く。出塁率4割1分5厘は3位。6月7日の中日戦は延長12回に勝ち越し本塁打。同月9日、10日の広島戦では2試合連続のサヨナラ打。3試合連続の決勝打という勝負強さを発揮した。加えて優勝がかかった阪神戦、三回二死二塁で森下翔太の一・二塁間の打球を横っ飛びで好捕し阪神の先制点を防ぐなど、外野手登録ながら一塁手もこなし攻守に躍動した。

初制覇の最大要因
 交流戦前までに断トツのリーグトップの防御率2.70を誇っていた投手陣は、交流戦でさらに凄みを増した。先発6人が3試合ずつ先発。平良海馬(交流戦2位タイの防御率0.86)、隅田知一郎(防御率1.38)、武内夏暉(防御率1.42)、髙橋光成(防御率1.54)が2勝。渡邉勇太朗(同2位タイの防御率0.86)、アラン・ワイナンス(防御率1.93)が1勝。先発がクオリティ・スタートを満たさなかったのはわずかに1度で、ハイクオリティ・スタートは10度。14勝のうち先発の勝利が10を数え、先発がしっかりと試合をつくったことが初制覇の最大の要因であるだろう。

7年ぶりのリーグ制覇へ
 昨季は平良、隅田、武内、髙橋、渡邉の5人がつくった借金は2だった(貯金をつくったのは最多セーブ投手賞の平良のみ)。今季、ワイナンスを加えた6人の先発陣はどれだけ貯金を稼ぐのか――。それは7年ぶりのリーグ制覇と密接な相関関係がある。