強打の内野手
9月7日のソフトバンク戦に出場した浅村栄斗(楽天)が、西武時代の2015年8月8日から続けていた連続試合出場を1000試合の大台に乗せた。現役最多で、史上9人目の記録である。浅村は大阪桐蔭高校3年時の夏の甲子園大会で、1試合2本塁打を放つなど走攻守三拍子揃ったリードオフマンとしてチームを牽引し、同校の17年ぶりの優勝に貢献した。同年ドラフト3位で西武に入団し、2年目からレギュラーに定着。球団新記録となる127打点をマークするなど、強打の内野手として本領を発揮。18年は主将としてリーグ制覇を支え、同年オフに楽天にFA移籍した。昨季まで3割3度、2度の最多打点、1度の最多本塁打のタイトルを獲得している。
連続試合出場の秘訣
浅村は試合に出続けられる秘訣を「ケガをケガと思わないこと」と答えたそうだ。厳しい鍛錬と高度な技術の錬磨が求められるプロスポーツ選手は、大なり小なり故障を抱えているものである。浅村自身、14年に膝の負傷で戦線離脱せざるを得なくなったように、無理をすると、取り返しがつかなくなるケガもある。だが、どこにフォーカスするかで、人間の意識は大きく変わる。ケガを当然のものとして受け入れ、自分本来のパフォーマンスを発揮するにはどうすればよいかを探求し続けてきたことが、鉄人伝説に名を連ねた大きな要因であるだろう。
選手の勲章
連続試合出場のプロ野球記録は衣笠祥雄(広島)の2215。2位は鳥谷敬(阪神)の1939、3位は金本知憲(阪神)の1766である(所属は連続出場最終時)。出場試合数のプロ野球記録は谷繁元信の3021(中日など)。以下、野村克也(西武など)の3017、王貞治(巨人)の2831と続く。出場試合数は長年に渡り、必要とされてきた証であり、選手にとっては勲章である。「無事これ名馬なり」ではあるが、無事だけでは名馬とは言えない。そこにこの記録の含蓄がある。
史上最強の鉄人へ挑む
パ・リーグでは1000試合以上の連続試合出場した選手は、浅村がプロ入りした球団の先輩である松井稼頭央(現西武ヘッドコーチ)に次いで2人目となる。奇しくも二人とも大阪の出身であるが、まずは歴代7位となる松井の1143試合を次なる目標に据え、浅村がプロ野球史上最強の鉄人へ、どこまで迫れるか注目に値する。