オリックス・山本由伸、リーグ3連覇へ

白星を積み重ねる

 前半戦で両リーグトップの9勝(3敗)を挙げたオリックスのエース山本由伸。2021年から2年連続開幕投手を務めたが、今季はWBCに出場したことで、開幕6試合目での初登板となった。前半戦は13試合に先発登板。6月5日のソフトバンク戦(6回4自責点)以外はクオリティ・スタートを達成し、順調に白星を積み重ねた。

序盤は”らしさ”に欠ける

 しかしシーズン序盤からエンジン全開とはいかなかった。登板2試合目のロッテ戦から連敗し、3試合目の西武戦では二桁被安打を喫した。シーズン初の二桁奪三振は9試合目で、2021年の2試合目、22年の5試合目と比べると遅く、山本らしさに欠けていた。昨季までの左足を跳ね上げるフォームから今季は左足を高く上げずに踏み出す新フォームに取り組み、その影響があったのかもしれない。

交流戦で3勝

 しかし2年連続で沢村賞を受賞する投手ともなると、対応力も異次元だ。徐々に調子を上げていき、交流戦では計24回を1自責点(防御率0.38)に抑え、3勝をマーク。新フォームもしっかりと自分のものとし、本来の力を発揮しだした。2年連続で投手四冠を達成してもそれに満足せず、さらなら高みを目指す。

新フォームの成果

 昨季までと比べて特筆すべきは与四球の少なさと奪三振の多さだ。交流戦までは6試合で無四球が1試合だったが、交流戦初登板の広島戦からは7試合で無四球が5試合。与四球率(1試合あたりの与四球数)は、21年が1.86、22年が1.96だったのに対し、今季の前半戦は1.16と制球力にさらに磨きがかかっている。三振奪取率(1試合あたりの奪三振数)も21年が9.57、22年は9.56に対して、前半戦は9.93と二ケタに迫る勢いだ。新フォームの成果は確実に数字に現れている。

リーグ3連覇へ

 前半戦は完投が1試合で完封はなかった。前半戦の最後の先発(7月15日のソフトバンク戦)で勝利投手となり、「凄く状態が良くなってきているし、もっともっといいボールが投げられそうな感覚もある」とコメントした。宮城大弥や山下舜平大を擁する強力先発投手陣を牽引するエースの言葉が現実になれば、リーグ3連覇の確率はぐんと高くなる。

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