史上3人目の快挙
ソフトバンク・山川穂高が古巣の本拠地、ベルーナドームに初登場した4月12日、試合前のスタメン発表時に猛烈なブーイングが起きたことがネットの動画で伝わった。不祥事によって西武を去った山川への風当たりの強さは相当なものだったが、その翌日のゲームの六回(第4打席)と八回(第5打席)で満塁弾を放ち、古巣のファンへの恩返しと同時に新生・山川穂高を強烈にアピールした。1試合で2本の満塁弾は、1951年の飯島滋弥(大映)と2006年の二岡智宏(巨人)に続いて史上3人目となる。2打席連発は第3、4打席で放った二岡以来2人目で、パ・リーグでは初の快挙だ。
バットで取り戻す
昨年5月、知人女性への強制性交の疑いで書類送検され、同年8月に不起訴処分(嫌疑不十分)となった。西武球団からは無期限の公式試合出場停止処分を受け、昨季の出場は17試合にとどまったが、「故障者特別措置」による登録日数の加算でFA権を取得。4年契約の総額12憶円+出来高払いで、新天地に活躍の場を求めた。この日、1本目の満塁弾を放ったあと、ベンチで両手でバットを握り締め、感謝を表すような仕草を見せたが、今季に懸ける思いの強さが現れたシーンだった。自らの蹉跌はバットで取り戻すしかない。それは野球選手の宿命であるだろう。
豪打復活で打線牽引
本塁打を放った後のお馴染みの“どすこいポーズ”はチームが変わっても踏襲するようだ。4番に山川がどっしりと座り、前後を柳田悠岐と近藤健介が固める和製クリーンアップは12球団随一といっていい。この日は第3打席を含めて計3度、満塁で山川に打席が回った。このゲームのように、山川の前に走者をため、山川が還す得点パターンを確立できれば、チームの得点力は格段に増す。西武時代に本塁打王に3度、打点王に1度輝いたスラッガーへの小久保裕紀監督の期待も大きい。昨季は本塁打はゼロに終わったが、豪打復活で4年ぶりにリーグ制覇を狙うチームを牽引する。