オリックス、令和初の開幕戦

異例のシーズンの幕開け

2020年のプロ野球は新型コロナウイルスの影響で、6月に開幕戦が行われるという異例の事態になった。11月の日本シリーズ開催までに120試合を終えるとなると、かなりの過密日程になり、選手には過酷なシーズンとなる。また疲労の蓄積から免疫力が低下し、感染リスクが拡大することも懸念されている。

日本のプロ野球史上かつてない状況下でシーズンを戦い抜くには、例年以上に戦力に厚みが求められ、また選手のサポート体制や戦力の補強など、フロントも含めた総合力で勝る球団が最後に笑うことになりそうだ。

開幕投手は山岡

開幕が当初の予定より3カ月ずれこんだので、選手は実戦に向けての調整に苦労しているのではないか。とりわけチームのシーズン最初の試合で先発マウンドに立つ開幕投手はかつてない状況下で、メンタル面を含めた調整の難しさがある。

1996年に日本シリーズで巨人を倒して日本一になったシーズン以来、12球団の中でリーグ優勝から最も遠ざかっているオリックス。2010年に金子(現・日本ハム)が楽天・岩隈(現・巨人)との息詰まる投手戦を制し、1-0で開幕戦を飾ったのを最後に、開幕戦は9年連続で勝てていない(2011年は引き分け)。

今季は本拠地・京セラドームで楽天と対戦。令和初の開幕投手は昨年プロ入り初の二桁勝利をあげ、勝率第一位投手賞も獲得した山岡が2年連続で指名された。山岡はオープン戦で3試合に先発し17イニングを投げ、防御率は2.12。3月6日の対巨人戦では、菅野とのエース対決を制し、勝利投手になっている。6月5日の広島との練習試合では先発で4~7回を三者凡退に抑えるなど7回1安打無失点と、仕上がりは万全だ。また楽天戦は一昨年は2勝1敗(防御率1.31)、昨年は6勝1敗(防御率2.12)と得意にしているのも好材料だ。

24年ぶりの制覇の試金石

昭和から元号が変わった平成元(1989)年の開幕戦。オリックス元年でもあるこのシーズン、佐藤義則の開幕戦での完封勝利でチームは勢いづき、ブーマーの開幕5試合連続本塁打などブルーサンダー打線が爆発。投打の相乗効果でチームは破竹の開幕8連勝を飾り、シーズン終了間際まで優勝争いをする原動力になった。2010年も3月は7勝1敗とし、その余勢を駆って交流戦の優勝につなげた。

開幕戦はレギュラーシーズンの試合数分の1ではないとよくいわれる(今季の場合は1/120)。戦力的に劣るチームや優勝から遠ざかっているチームほど、開幕ダッシュが必要で、開幕投手はエースの称号であると同時に、チームの浮沈のカギを握る大役である。昨年オフには1憶円で契約更改。在籍3年での大台は球団生え抜きの選手としての最速記録で、球団の期待の大きさの現れでもある。今季からかつて金子がつけていた背番号「19」を背負う若きエースの開幕戦での投球内容は、チームの24年ぶりの制覇を占う試金石となる。

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