巨人18年ぶりの和製本塁打王
阪神・大山悠輔との激しい本塁打王争いの末、6 年目で初のタイトルを獲得した巨人・岡本和真。今季はコロナ禍で6月19日の開幕となり、6月の10試合で5本の本塁打を放った。2試合に1本というハイペースで、シーズン序盤からエンジンを全開にした。その後、長期のスランプに陥ることなく、コンスタントに本塁打を量産。加えて97打点を挙げ、初の打点王も獲得した。巨人の選手の本塁打王は2010年のアレックス・ラミレス以来。日本人選手だと02年の松井秀喜以来となり、18年ぶりの和製本塁打王の誕生となる。日本人選手の右打者と条件を絞ると、同じホットコーナーを守った61年の長嶋茂雄以来となる。
勝利に貢献する4番
今季、岡本が本塁打を放った試合で、チームは22勝5敗2分け(1試合2発が2回)。勝率8割1分5厘という高い数字を残した。4番の仕事がチームを勝利に導くことなら、今季の岡本はその仕事を十分に果たしたといえる。8月18日の阪神戦(東京ドーム)では、岡本のソロで挙げた1点を菅野智之が守りきり、1-0で制した。4番の一発とエースの完封で勝つというチームとして理想的な“勝利の方程式”だったが、岡本の勝利への貢献度の高さを示す象徴的なゲームだった。
大山は9月に爆発
2019年は開幕4番でスタートした大山だが、今季の開幕戦はスタメンから外れたのみならず出場機会もなかった。6月の10試合のうち先発出場は2試合のみで、途中出場1試合、代打出場4試合、出場機会無し3試合と、矢野監督の構想から外れたかのような起用が多かった。それに奮起したのか、チーム14試合目となる7月4日の広島戦(マツダスタジアム)で、19年シーズンに4番の座を譲ったジェフリー・マルテに代わり途中出場すると、待望の今季1号をかっ飛ばした。翌日は4番スタメンで2戦連続アーチをかけた。7月は8本、8月は5本の本塁打を放ち、9月に入るとその打棒が一気に爆発した。9月5日の巨人戦(甲子園)ではシーズン自己最多となる15号。プロ入り初のグランドスラムや2打席連発も2回あり、9月は9本塁打の固め打ちで岡本を猛追した。
岡本に一日の長
10月には岡本を抜き単独トップに立ったが、10月13日に26号を放ったあと、追われる立場になったプレッシャーからか11月4日まで音無しに終わり、最終的にタイトルは岡本が手にした。昨季まで2年連続で30本塁打超を記録している岡本にタイトル争いでは“一日の長”があった。また今季、大山が本塁打を放った試合でチームは18勝7敗1分け(1試合2発が2回)。勝率6割6分7厘で、本塁打での勝利への貢献度においては岡本に大きく後れをとった。
和製大砲による本塁打王争い
阪神の直近の本塁打王は1986年のランディ・バース。日本人選手だと84年の掛布雅之、右打者だと75年の田淵幸一までさかのぼる。大山はシーズン本塁打11本の2018年に、プロ野球タイ記録の1イニング2本を含む月間9本塁打を放ったことからも窺えるように、波に乗ると手がつけられなくなるが、その反動も大きいタイプだ。タイトルを獲るための課題は、好不調の波を少なくすることとタイトル争いのプレッシャーに打ち克つことが挙げられるだろう。ルーキーイヤーに7本のアーチ、2年目に11本、3年目に14本と順調にステップアップし、今季は倍増の28本と大輪の花を咲かせた。タイガース21世紀初の本塁打王への期待は大きく膨らむ。24歳の岡本が26歳の大山よりプロでのキャリアは2年長いという関係にある二人の和製大砲。来季も本塁打王争いで、プロ野球を盛り上げてほしい。
今季の岡本と大山の打撃成績
試合 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 打率 | 得点圏 打率 |
出塁率 | 長打率 | OPS | |
岡本 |
118 | 121 | 31 | 97 | .275 | .347 | .362 | .545 | .907 |
大山 |
116 | 122 | 28 | 85 | .288 | .295 | .357 | .560 | .910 |
※OPS=出塁率+長打率
対戦カード別本塁打数
巨人 | ヤクルト | DeNA | 中日 | 阪神 | 広島 | |
岡本 | ー | 11 | 7 | 3 | 3 | 7 |
大山 | 5 | 2 | 5 | 7 | ー | 9 |
球場別本塁打数
東京D | 神宮 | 横浜 | ナゴヤD | 甲子園 | マツダ | |
岡本 | 19 | 4 | 2 | 2 | 0 | 4 |
大山 | 1 | 1 | 3 | 5 | 12 | 6 |