DeNA、セ・パ交流戦で初V

パが15度目の勝ち越し

 今年度のセ・パ交流戦はパ・リーグの54勝52敗2分けで全日程を終了し、パ・リーグが新型コロナウイルス禍以降では初となる2019年以来の勝ち越しを決めた。05年に始まった交流戦は今年度で18度目になり、パ・リーグの勝ち越しは15度目(20年は同ウイルス禍のため中止)。

激戦の末に初V

 優勝争いは稀にみる激戦になった。日程の半ばを過ぎた6月10日にはオリックス、ソフトバンク、日本ハム、DeNA、広島、巨人の6球団が6勝5敗で首位に並び、4勝6敗1分けのロッテと阪神が最下位。首位と最下位が1.5差という大混戦だった。全日程の終了時にはDeNA、ソフトバンク、オリックス、巨人の4球団が11勝7敗で勝率第1位となり、得失点率差(1イニング当たりの得点率と失点率の差)でDeNAの初優勝が決まった。首位と最下位の西武(6勝12敗)とのゲーム差5.0は交流戦史上、最少だった。

交流戦は不得手

 DeNAは前身の横浜ベイスターズ時代から交流戦を不得手にしていた。08~10年までは3年連続で最下位。親会社がDeNAに代わってからも13年と15年は最下位に沈み、15年の勝率1割7分6厘(3勝14敗1分け)は交流戦史上、最低勝率である。19年に4位になって以降は、5割以上の勝率を残し今年は頂点に登り詰めた。

先発投手の奮投

 DeNAは、先発投手の“奮投”が目立った。全18試合でクオリティ・スタートは10度。そのうち9試合で先発投手に勝ちが付いている。クオリティ・スタートでチームが敗戦したのは1度だけで、先発がゲームをつくれば、救援陣や攻撃陣がそれに応えるという構図が見て取れる。とりわけ今永昇太とトレバ―・バウアーは交流戦最多タイの24イニングを投げ、各3試合の登板でいずれもクオリティ・スタートを達成。今永は交流戦初戦での完投勝利を含む2勝を挙げ、防御率1.88(11位)。バウアーは1完投を含む3勝を挙げ、防御率1.50(6位タイ)。被本塁打4、奪三振31はともに最多という投球内容に特徴が表れていた。

セ・リーグ優秀選手賞

 投の主役を差し置いてセ・リーグ優秀選手賞を受賞したのは牧秀悟だ。全18試合に4番として出場し、最多となる27安打を放ち(8二塁打も1位)、打率3割8分(3位)。雨によるノーゲームで本塁打が幻になるという不運もあり、2本塁打に終わったが、13打点(8位)をマーク。牧が打点を挙げた試合は9勝2敗、2打点では4勝無敗と攻撃陣を牽引した。交流戦優勝への剣ヶ峰となった18日のロッテ戦では4打数4安打2打点2得点と勝負強さを発揮。先発・佐々木朗希から同点打と勝ち越し打を含む3安打2打点。難敵攻略のキーマンとなった。

「横浜頂戦」のポイント

 交流戦の最終戦である19日の日本ハム戦で、これからの戦いでの課題が垣間見えた。このゲームに勝てば、自力での優勝が決まっていたが、1点差で惜敗。先発・上茶谷大河が4回無失点と好投。一時は3-1とリードを広げたが八回に追いつかれ、延長十回に山﨑康晃が勝ち越しソロを浴びた。今季、DeNAは98年以来のリーグ優勝を目指し、「横浜頂戦」というスローガンを掲げた。ペナントレースでは優勝するためにポイントとなる試合がある。そんな重要な試合を勝ちきれるか――。それが四半世紀ぶりの「頂」への最大のカギではないだろうか。

交流戦に挑む岡田彰布監督

首位で交流戦へ

 今季から阪神で二度目の指揮を執る岡田彰布監督。開幕ダッシュに成功し、5月13日にDeNAに勝ち、監督通算600勝を達成すると同時に首位に同率で並ぶ。翌日には単独首位に浮上。セ・リーグ首位で交流戦に挑む。

得意とする交流戦

 交流戦は岡田第一次政権の2年目(2005年)に始まり、阪神は2年連続で3位。08年にはソフトバンクと勝率第1位で並んだが、2チーム以上が勝率で並んだ場合、前年の交流戦の順位で最終順位が決定する規定により優勝を逃した。オリックス監督時代は3年連続でBクラスに沈んだが、交流戦は監督就任1年目(10年)に優勝、翌年は2位。「1リーグの方がファンも盛り上がるのでは……」(岡田監督)。1年目の交流戦終了後にそんなコメントを残したが、交流戦は得意とするところだ。

古巣相手に好成績

 岡田監督は現役時代、阪神に14年、オリックスに2年在籍した。阪神監督時代の交流戦でのオリックス戦の戦績は13勝6敗1分け(勝率6割8分4厘)、オリックス監督時代の同戦での阪神戦の戦績は8勝4敗(勝率6割6分7厘)。古巣相手の対戦で闘争心に火がつき、采配も冴えるのか好成績を残している。

まったくの互角

 今季の対戦は6月13~15日に甲子園で行われる。昨季までの交流戦での両チームの通算対戦成績は31勝31敗3分けと互角である。甲子園での対戦に限ると、15勝13敗2分けとやや阪神に分がある。「オリックスは阪神が相手だと頑張る」という虎党の嘆きを聞いたことがある。交流戦が始まってから21年に四半世紀ぶりにリーグ制覇をするまで、オリックスは久しく低迷期にあったが、関西の球団同士というライバル意識のなせる業か阪神戦では互角の勝負を演じていた。

球団初の交流戦Vへ

 昨季の交流戦は阪神が意地を見せ、オリックス戦で初めて全勝した。今年の大阪ダービーも白熱しそうだ。阪神は交流戦では昨季まで2年連続2位。頂点まであと一歩だ。岡田監督が球団初の交流戦優勝を目指し、昨季日本一の古巣相手にどのような采配を振るうか注目だ。