清宮幸太郎、球宴でMVP

「プラスワン」枠で選出

7月26日にペイペイドームで行われたマイナビオールスター2022の第1戦。2-2で迎えた九回裏、二死無走者で日本ハム・清宮幸太郎が左中間席へサヨナラ本塁打を放ち、MVPを受賞。賞金300万円を獲得した。清宮はプロ入り5年目の23歳で球宴初出場。ファンと選手間の投票、監督選抜から漏れた最後の1人をファンが選ぶ「プラスワン」枠での出場で、1票を投じたファンの期待に最高の結果で応えた。プロ入り通算32本塁打も、サヨナラ弾は初めてだった。

名スラッガーの仲間入り

球宴でのサヨナラ本塁打は、1963年の近藤和彦(大洋)、68年の江藤慎一(中日)、74年の高井保弘(阪急)、79年の山本浩二(広島)、81年の掛布雅之(阪神)、86年の吉村禎章(巨人)に次ぐ史上7人目。球宴での最初の出場試合でのサヨナラ弾は高井に次いで2人目、23歳2ヵ月での球宴サヨナラ弾は吉村と並ぶ最年少記録。球史に名を残すスラッガーの仲間入りを果たした。

今季は背水の陣

早稲田実業時代は高校歴代ナンバー1の通算111本塁打を放ち、2017年のドラフト会議の“超”目玉だった。7球団の競合の末、ドラフト1位で日本ハムに入団。清宮の外れ1位でヤクルトが指名した村上宗隆が2年目に早くも36本塁打を放って頭角を現し、4年目の昨季には本塁打王を獲得。今や押しも押されもせぬ全セの4番であるのに対し、清宮はルーキーイヤーの18年から21年まで3シーズン連続で7本塁打に終わり、昨季はイースタン・リーグ最多本塁打賞(19本)に輝くも、1軍での出場機会はなかった。新庄剛志監督が就任した今季、背水の陣で臨んだ。

チャンスでの弱さ

今季はオールスター前まで82試合に出場し、打率2割2分6厘(規定打席未満)、長打率4割5分7厘の成績を残すも、得点圏打率は1割6分9厘。今季はシーズン自己最多となる11本塁打を放っているが、すべてソロと、チャンスには滅法弱かった。それが野球人憧れの夢の舞台で、ここぞという場面で“汚名返上”の一発を放った。ヤクルト・村上と比べて、打席での漲るような気迫に乏しい。それは、同じリーグで戦っている全パ・中嶋聡監督の「まさか打つとは思っていなかった」というコメントにも如実に表れている。

華々しい打棒を期待

5強1弱の今季のパ・リーグで、ペナントレースの蚊帳の外にいる日本ハム。ファイターズガールが踊る「きつねダンス」が球界の内外で注目度が高く、今季の日本ハムの主役となりつつある。清宮にはそれに勝るような、また敵将が「まさか…」と驚愕するような“華々しい打棒”を後半戦では期待したい。

ヤクルト、2022年交流戦V

効果的な本塁打攻勢

2018年以来、4年ぶり2度目の交流戦の優勝(勝率1位を含む)を飾ったヤクルト。5月24日の交流戦開幕カードの日本ハム戦、0-1から代打・内山壮真のプロ入り初本塁打で追いつき、1-1で迎えた延長11回に村上宗隆のサヨナラ本塁打で決着をつけた。翌日は4-6の九回に山崎晃大朗が”人生初の”劇的なサヨナラ3ラン。この2試合連続のサヨナラ勝ちで波に乗り、セ・リーグのチーム初の全カード勝ち越しで優勝に花を添えた。交流戦を通じて際立ったのは効果的な本塁打攻勢だった。チーム本塁打はトップの24本、最少の広島は2本。チーム得点はトップの78点、最少の広島は33点。交流戦最下位のチームと比較して、打線の破壊力と得点力の差は歴然だった。左半月板の手術で長期離脱を余儀なくされている昨季19本塁打のドミンゴ・サンタナの不在をまったく感じさせなかった。

交流戦MVPは村上

交流戦MVPに輝いたのは6本塁打(2位タイ)、13打点(3位タイ)、打率3割5分1厘(4位)、長打率7割2厘(2位)の村上。6月4日の西武戦では、1-2で迎えた6回に逆転2ラン。同月10日のソフトバンク戦では1-1の4回に敵軍のエース・千賀滉大から勝ち越しソロ。翌日の交流戦の優勝を決めた一戦では、3点ビハインドの状況での追撃の2ランに続き、次打席では嘉弥真新也から逆転満塁弾。村上封じに起用された変則左腕に今季初被弾をお見舞いした。村上が本塁打を放った5試合でチームは4勝と、勝利に貢献する打撃を披露した。塩見泰隆は5月27日の楽天戦で、3打席連続弾。攻撃陣のリーダー・山田哲人は計5本のアーチをかけ、チームを鼓舞。6月3日の西武戦では、小川泰弘が投げては8回無失点、打っては決勝ソロと投打にわたる活躍で1-0の接戦を制した。

球団2度目の連覇へ

交流戦で14勝4敗と「10」の貯金をつくり、交流戦の前後で2位巨人とのゲーム差を1.0から7.0に広げた。昨季は9月22日に初めて首位に立ったが、今季は早くも独走態勢を築きつつある。交流戦最後のカードでは、現在パ・リーグ首位のソフトバンクを3タテ。日本シリーズへ向け、縁起良く交流戦を締め括った。今季が3年契約最終年だった高津臣吾監督も契約を2年延長。球団もその手腕を認め、将来を見据えたチーム作りを委ねた。高津監督の恩師・野村克也元監督が指揮を執った1992、93年以来の球団2度目となるセ・リーグ連覇へ、視界は良好である。